◆税金ぜいきんについて
１．外国人がいこくじんと税金ぜいきん
２．所得税しょとくぜい
３．住民税じゅうみんぜい

外国人がいこくじんであっても一定いっていの要件ようけんに当あてはまる場合ばあいには税金ぜいきんを納おさめる必要ひつようがあります。
税金ぜいきんを納おさめなければならない例れいとして、次つぎのようなものがあります。

・日本にほん国内こくないで働はたらいて、収入しゅうにゅうがある人ひと
→　原則げんそくとして所得税しょとくぜいを納おさめる必要ひつようがあります。

・1月がつ 1日にちの時点じてんで日本にほんに住所じゅうしょがある人ひと
→　住民税じゅうみんぜいを納おさめる必要ひつようがあります（前年ぜんねんの所得しょとくに応おうじて課税かぜいされます）

所得税しょとくぜいは、1月がつ 1日にち ～ 12月がつ 31日にちまでの１年間ねんかんで得えた個人こじんの所得しょとく（収入しゅうにゅう）にかかる税金ぜいきんです。

所得税しょとくぜいの計算けいさんは、

① 収入しゅうにゅう－経費けいひなど＝所得しょとく金額きんがく（Ａ）
② 所得しょとく金額きんがく（Ａ）－いろいろな控除こうじょ＝課税かぜい所得しょとく金額きんがく（Ｂ）
③ 課税かぜい所得しょとく金額きんがく（Ｂ）× 税率ぜいりつ

で計算けいさんします。

税率ぜいりつは、課税かぜい所得しょとく金額きんがく（Ｂ）が多おおくなるほど段階だんかい的てきに高たかくなる仕し組くみとなっています。

 

◆納税のうぜい義務者ぎむしゃと課税かぜいの対象たいしょうとなる所得しょとくの範囲はんい
次つぎの居住きょじゅうの種類しゅるいによって、所得税しょとくぜいの対象たいしょうとなる所得しょとくの範囲はんいがちがいます。

（１）居住者きょじゅうしゃ
日本にほん国内こくないに「住所じゅうしょ」がある人ひと、または現在げんざいまで引ひき続つづき１年ねん以上いじょう「居所きょしょ」がある人ひと（（２）非ひ永住者えいじゅうしゃは除のぞきます）
これに該当がいとうする人ひとを「居住者きょじゅうしゃ」といいます。
→　国外こくがい源泉げんせん所得しょとくを含ふくむすべての所得しょとくが所得税しょとくぜいの対象たいしょうとなります。

（２）非ひ永住者えいじゅうしゃ
「居住者きょじゅうしゃ」のうち日本にほんの国籍こくせきがなく、かつ、過去かこ 10年ねん以内いないにおいて国内こくないに住所じゅうしょがあった期間きかんの合計ごうけいが５年ねん以下いかである人ひと
これに該当がいとうする人ひとを「非ひ永住者えいじゅうしゃ」といいます。
→　①国外こくがい源泉げんせん所得しょとく以外いがいの所得しょとくと ②国外こくがい源泉げんせん所得しょとくで国内こくないにおいて支払しはらわれたもの、または国外こくがいから送金そうきんされたものが所得税しょとくぜいの対象たいしょうとなります。

（３）非ひ居住者きょじゅうしゃ
「居住者きょじゅうしゃ」、「非ひ永住者えいじゅうしゃ」以外いがい（外国がいこくに住所じゅうしょがある人ひとなど）の人ひとを「非ひ居住者きょじゅうしゃ」といいます。
→　日本にほん国内こくないで勤務きんむした給与きゅうよや日本にほん国内こくないでの人的じんてき役務やくむの提供ていきょうによる報酬ほうしゅうなどの、国内こくない源泉げんせん所得しょとくのみが所得税しょとくぜいの対象たいしょうとなります。

 

◆所得税しょとくぜいの確定かくてい申告しんこくと納税のうぜい
所得税しょとくぜいはその年としに発生はっせいした所得しょとくの金額きんがうとそれに対たいする所得税しょとくぜいの金額きんがくを自分じぶんで計算けいさんして、申告しんこく期限きげんまでに税務署ぜいむしょに確定かくてい申告書しんこくしょを提出ていしゅつし、源泉げんせん徴収ちょうしゅうされた所得税しょとくぜいなどとの過不足かぶそくを精算せいさんします。
この手続てつづきを「確定かくてい申告しんこく」といいます。

（１）確定かくてい申告しんこくが必要ひつような人ひと
給与きゅうよの支払しはらいを受うけている人ひとについては、そのほとんどは所得税しょとくぜいなどが源泉げんせん徴収ちょうしゅうされた後あと、年末ねんまつ調整ちょうせいによって精算せいさんされるため、確定かくてい申告しんこくは不要ふようです。
ただし、次つぎのような人ひとは確定かくてい申告しんこくをする必要ひつようがあります。
・給与きゅうよの支払しはらいを１か所しょから受うけていて、かつ、給与きょうよ所得しょとくや退職たいしょく所得しょとく以外いがいの所得しょとくの金額きんがくの合計ごうけい額がくが 20万円まんえんを超こえる人ひと
・２か所しょ以上いじょうから給与きゅうよの支払しはらいを受うけていて、かつ、年末ねんまつ調整ちょうせいをされなかった給与きゅうよの収入しゅうにゅう金額きんがくと、給与きゅうよ所得しょとくや退職たいしょく所得しょとく以外いがいの所得しょとくの金額きんがくとの合計ごうけい額がくが 20万円まんえんを超こえる人ひと
・給与きゅうよ以外いがいの事業じぎょう（仕事しごと）や株かぶ取引とりひきなどにより所得しょとくを得えていて、所得税しょとくぜいの計算けいさんの結果けっか、税金ぜいきんがかかる人ひと など

なお、確定かくてい申告しんこくにより納おさめる税金ぜいきんがある人ひとは期限きげんまでに納税者のうぜいしゃ自身じしんで納付のうふする必要ひつようがあります。
（※税務署ぜいむしょから納付のうふについての通知つうちなどはありません）

納付のうふには以下いかの方法ほうほうがあります。
①口座こうざ振替ふりかえ
②ダイレクト納付のうふ（e-Tax による口座こうざ振替ふりかえ）やインターネットバンキング
③スマートフォンで Pay 払ばらいを利用りようした納付のうふ（スマホアプリ納付のうふ）
④インターネット上じょうでのクレジットカード納付のうふ
⑤現金げんきんでの支払しはらい（コンビニエンスストアや銀行ぎんこう、郵便局ゆうびんきょく、税務署ぜいむしょの窓口まどぐち）

（２）確定かくてい申告しんこくをすれば所得税しょとくぜいが戻もどる人ひと
・所得しょとく控除こうじょがあることなどにより、源泉げんせん徴収ちょうしゅうされた所得税しょとくぜいなどが納おさめ過すぎになっている場合ばあいには、確定かくてい申告しんこくにより所得税しょとくぜいが戻もどってきます。郵便局ゆうびんきょくや銀行げんこう口座こうざへの振込ふりこみによって受うけ取とります。
・源泉げんせん徴収ちょうしゅうなどによって納おさめ過すぎた所得税しょとくぜいがない場合ばあいには戻もどってくる所得税しょとくぜいはありません。

（３）確定かくてい申告しんこくと納税のうぜいの期限きげん
各かく年ねん分ぶんの所得税しょとくぜいについて確定かくてい申告しんこくの相談そうだんや申告書しんこくしょの受付うけつけは次つぎの年としの 2月がつ 16日にち ～ 3月がつ 15日にちまでです。
※税務署ぜいむしょが休やすみの日ひ（土ど・日曜にちよう・祝日しゅくじつなど）は原則げんそくとして、税務署ぜいむしょでの相談そうだんや申告書しんこくしょの受付うけつけはできません。
※所得税しょとくぜいの確定かくてい申告しんこく分ぶんの納税のうぜいの期限きげんは、3月がつ 15日にちです。
※この期限きげん（3月がつ 15日にち）が土ど・日曜にちよう・祝日しゅくじつになっている場合ばあいは、翌日よくじつ以降いこうの平日げいじつが期限きげんとなります。

（４）日本にほんから出国しゅっこくする場合ばあい
・帰国きこくをする場合ばあいで日本にほんの住所じゅうしょがなくなる場合ばあい、原則げんそくとして出国しゅっこく前まえにその年としの給与きゅうよについて年末ねんまつ調整ちょうせいを受うけることになります。
・（１）のように確定かくてい申告しんこくが必要ひつようとなる場合ばあいには、出国しゅっこく前まえに確定かくてい申告しんこくと納税のうぜいをする必要ひつようがあります。
・出国しゅっこくした後あとで確定かくてい申告しんこくや納税のうぜいなどの手続てつづきをする必要ひつようがある場合ばあいには、日本にほん国内こくないに住すんでいる納税のうぜい管理人かんりにんを選えらび「納税のうぜい管理人かんりにんの届出書とどけでしょ」を住すんでいる地域ちいきの管理かんりをしている税務署ぜいむしょに提出ていしゅつしてください。出国しゅっこく後ごに納税のうぜい管理人かんりにんが本人ほんにんに代かわって手続てつづきを行おこなうことになります。

◆主おもな所得しょとく控除こうじょ
各かく個人こじんの事情じじょうを考慮こうりょし、次つぎに当あてはまる場合ばあいには所得税しょとくぜいの計算上けいさいじょう、一定いっていの金額きんがくを控除こうじょします。（１の計算式けいさんしきを参照さんしょう）
なお、『非居住者ひきょじゅうしゃ』である場合ばあいには適用てきようできる控除こうじょの種類しゅるいが限定げんていされます。

（１）親族しんぞくを扶養ふようしている場合ばあい
・親族しんぞくを扶養ふようしている場合ばあいで、扶養ふようされている人ひとの合計ごうけい所得しょとく金額きんがくが 48万円まんえん以下いか（2019年ねん以前いぜんは 38万円まんえん以下いか）であるなど一定いっていの要件ようけんを満みたす場合ばあいには、一定いっていの金額きんがくの所得しょとく控除こうじょを受うけることができます。
・扶養ふようしている親族しんぞくが、『非居住者ひきょじゅうしゃ』である場合ばあいには「親族しんぞくであることが分わかる書類しょるい（戸籍こせきの写うつしなど）」および「扶養ふようしていることが分わかる書類しょるい（金融きんゆう機関きかんから送金そうきんしたときの書類しょるいなど）」を確定かくてい申告書しんこくしょに添付てんぷ、または確定かくてい申告書しんこくしょの提出ていしゅつのときに提示ていじする必要ひつようがあります。

（２）配偶者はいぐうしゃがいる場合ばあい
・配偶者はいぐうしゃがいる場合ばあいで、一定いっていの要件ようけんを満みたす場合ばあいには一定いっていの金額きんがくの所得しょとく控除こうじょを受うけることができます。
・配偶者はいぐうしゃが『非居住者ひきょじゅうしゃ』である場合ばあいには「配偶者はいぐうしゃであることが分わかる書類しょるい（戸籍こせきの写うつしなど）」および「扶養ふようしていることが分わかる書類しょるい（金融きんゆう機関きかんから送金そうきんしたときの書類しゅるいなど）」を確定かくてい申告書しんこくしょに添付てんぷ、または確定かくてい申告書しんこくしょの提出ていしゅつのときに提示ていじする必要ひつようがあります。

（３）社会しゃかい保険料ほけんりょうを支払しはらった場合ばあい
自分じぶんまたは生計せいけい（生活費せいかつひなど）を一緒いっしょにしている配偶者はいぐうしゃやその他ほかの親族しんぞくの社会しゃかい保険料ほけんりょう（健康けんこう保険ほけん・国民こくみん年金ねんきん・厚生こうせい年金ねんきん保険ほけんなど）を支払しはらった場合ばあいには、その支払しはらった金額きんがくについて所得しょとく控除こうじょを受うけることができます。

（４）生命せいめい保険料ほけんりょうなどを支払しはらった場合ばあい
自分じぶんが一定いっていの生命せいめい保険料ほけんりょう、介護かいご医療いりょう保険料ほけんりょう、個人こじん年金ねんきん保険料ほけんりょうなどを支払しはらった場合ばあいには、一定いっていの金額きんがくの所得しょとく控除こうじょを受うけることができます。

（５）医療費いりょうひを支払しはらった場合ばあい
自分じぶんまたは生計せいけい（生活費せいかつひなど）を一緒いっしょにしている配偶者はいぐうしゃやその他ほかの親族しんぞくの医療費いりょうひが一定額いっていがくを超こえるときは、その医療費いりょうひの金額きんがくに応おうじた所得しょとく控除こうじょを受うけることができます。

◆源泉げんせん徴収ちょうしゅうと年末ねんまつ調整ちょうせい
・給与きゅうよの支払しはらいを受うけている外国人がいこくじんは、雇用こよう主ぬし（会社かいしゃ・アルバイト先さき）から給与きゅうよの支払しはらいを受うけるときに所得税しょとくぜいが引ひかれる（源泉げんせん徴収ちょうしゅうされる）ことになります。
・その年としの最後さいごに給与きゅうよの支払しはらいを受うけるときに所得税しょとくぜいの精算せいさん（年末ねんまつ調整ちょうせい）が行おこなわれます。
・給与きゅうよの支払者しはらいしゃ（会社かいしゃ・アルバイト先さき）からその支払しはらい金額きんがくなどが書かかれた「源泉げんせん徴収ちょうしゅう票ひょう」が給与きゅうよの支払しはらいを受うける人ひとに交付こうふされることとなっています。

◆租税そぜい条約じょうやくによる特例とくれい
自身じしんの出身国しゅっしんこくと日本にほんとの間あいだで「租税そぜい条約じょうやく」という決きまりがある場合ばあいには、一定いっていの要件ようけんを満みたすことにより所得税しょとくぜいが軽減けいげん、または免除めんじょされることがあります。

◆住民税じゅうみんぜいとは
・1月がつ 1日にちの時点じてんで住所じゅうしょがある（あった）都道府県とどうふけんと市区町村しくちょうそんに納おさめる税金ぜいきんのことです。
・前年ぜんねんの 1月がつ 1日にち ～ 12月がつ 31日にちまでに会社かいしゃから受うけ取とった給与きゅうよなどによって計算けいさんされた金額きんがくを納おさめる「所得割しょとくわり」と、受うけ取とった給与きゅうよなどに関係かんけいなく決きまった金額きんがくを納おさめる「均等割きんとうわり」があります。
・都道府県とどうふけんに納おさめる住民税じゅうみんぜいは、市区町村しくちょうそんに納おさめる住民税じゅうみんぜいと合あわせて市区町村しくちょうそんに納おさめます。

◆住民税じゅうみんぜいの納付のうふ
・住民税じゅうみんぜいの納おさめ方かたには２通とおりあります。

①特別とくべつ徴収ちょうしゅう
会社かいしゃがあらかじめ支払しはらわれる給与きゅうよから住民税じゅうみんぜいを引ひいて、市区町村しくちょうそんに納おさめます。
会社かいしゃや工場こうじょうで働はたらく人ひとはこれが原則げんそくであり、自身じしんが市区町村しくちょうそんに住民税じゅうみんぜいを納おさめる必要ひつようはありません。

②普通ふつう徴収ちょうしゅう
市区町村しくちょうそんから「住民税じゅうみんぜいを納おさめてください」という書面しょめんが届とどくので、自身じしんでこの書面しょめんと書面しょめんに書かかれている税額ぜいがくを支払しはらうための金額きんがくを持もって市区町村しくちょうそん（※）に納おさめます。
（※）郵便局ゆうびんきょくやコンビニで納おさめることができる場合ばあいがあり、その場合ばあいは市区町村しくちょうそんから届とどく書面しょめんにそのことが書かかれています。

◆その他ほか
・住民税じゅうみんぜいについては以下いかの点てんに注意ちゅういしてください。

①1月がつ 1日にちの時点じてんで住所じゅうしょがある（あった）市区町村しくちょうそんに税金ぜいきんを納おさめる必要ひつようがあり、1月がつ 2日にち以降いこうに日本にほんから出国しゅっこくした場合ばあいでも住民税じゅうみんぜいを納おさめる必要ひつようがあります。

②「特別とくべつ徴収ちょうしゅう」によって住民税じゅうみんぜいを納おさめている人ひとが会社かいしゃを辞やめることになった場合ばあいは、納おさめていない住民税じゅうみんぜいを「普通ふつう徴収ちょうしゅう」の方法ほうほうによって納おさめる必要ひつようがありますが、会社かいしゃに納おさめていない住民税じゅうみんぜいの全額ぜんがくを支払しはらわれる給与きゅうよや退職金たいしょくきんから引ひいてもらい、市区町村しくちょうそんに納おさめてもらう方法ほうほうもあります。

③日本にほんから出国しゅっこくするまでに住民税じゅうみんぜいを納おさめることができない場合ばあいは、出国しゅっこくする前まえに日本にほんに住すんでいる人ひとの中なかから自身じしんに代かわって税金ぜいきんの手続てつづきをする人ひと（納税のうぜい管理人かんりにん）を決きめて、住すんでいる市区町村しくちょうそんに届とどけ出でる必要ひつようがあります。